尾見怜:五〇九号分室

小説・映画・音楽の感想

小説

ダメ人間の見本市 筒井康隆:家族八景

突然ですが、わたしはダメな人間を見たり聞いたりすることが好きです。 ダメ人間のことを考えるだけでわくわくします。自分がダメなのでダメな人がいると共感します。わたしのダメな人間のなかで好みのタイプは、自分同じタイプである怠惰で人間ぎらいな性悪…

天才作家の渾身の一撃 町田康:告白

平成に刊行された小説の中でも間違いなくトップ10に入るであろう大傑作。 谷崎潤一郎賞受賞。「朝日新聞平成の三十冊」で3位。 分厚いからみんな読まないのかなぁ。超面白いのに。好きでたまらない。本作は日本の近代小説の金字塔です。ゼロ年代は海辺のカ…

日本のSF小説はほんとうにおもしろい。 伊藤計劃:虐殺器官

天才の所業です。 日本のSF小説の潮流を変えてしまう程の魅力を持った作品です。はてな民の方には釈迦に説法の気がしますけど、ほんとうにすきなんです。許してください。このブログも著者の映画ブログ『第弐位相』に影響を受けて始めたものです。(このブロ…

情報量の暴力 大混乱を楽しめる素質を磨け  トマス・ピンチョン:競売ナンバー49の叫び

ピンチョンはね……文学をかじろうとする人間にとっては憧れなんですわ。二十歳なりたてなのに度数高い酒を飲んでみるとか、アマチュア登山家のくせにスポンサー集めてエベレスト挑んじゃうとか。結果は無残です。難解すぎて読めるわけない。似たような作家に…

世界の全体最適の加速と個人 あと唐突な暴言がおもしろかった  上田岳弘:ニムロッド

平成30年下半期芥川賞受賞作品。書店で衝動買いして二日で読みました。いやーよかったですね!最初は上田さんどうしちゃったんだ?っておもっちゃったけどね!芥川賞は純文学の新人賞なのでSF作家はなかなかとれません。近年では円城塔ぐらいかな?好みに合…

無視されがちな恋愛要素にこそ司馬イズムの真骨頂 司馬遼太郎:燃えよ剣

燃えよ剣(上) (新潮文庫) 作者: 司馬遼太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1972/06/01 メディア: 文庫 購入: 32人 クリック: 409回 この商品を含むブログ (293件) を見る 永遠に消えない新選組ブームの種火であり、沖田総司を天才美青年剣士にしてしま…

罵倒と差別の快楽 村上龍:愛と幻想のファシズム

傑作であり衝撃作です。高校の時に読んで以来ずっと自分の中でベスト小説。次点で町田康の「告白」が続きます。ずっと考え続けなければならないし、わたしの人生について回るハードルというか障害というか。これに触れない限りこのブログは始まりません。私…