流行りの中華産SF小説。
想像の遥か外。
アイディアの坩堝。
わたしこそちっぽけな虫けら。
歴史も科学もエンタメ要素もごちゃまぜ。これぞオールドスクールなSF。
やっぱSFは短編より長編が好きなんだよなー。
えてして短編というのは言葉を切り詰めた切れ味が必要なので、アイディアと世界観のディテールで勝負するSFはなかなか難しい。よくできたSF短編はミニマリズムえぐい。
この「三体」はそこら辺を上手くクリアするために近現代の中国を舞台にしたサスペンスエンタメにSF短編フレーバーをかけて作りました感がすごい。
あと激しく読みやすい。SF小説は残念な訳を楽しむ変態のおかげでマイナージャンルになっているわけですが、
今回は「リア充」ことばなんて使っちゃう大森さんのバランス感覚のおかげで問題ナシ!読みやすいっす先生!
本作は面白アイディアが湯水のごとく使われている贅沢仕様。変に観念的じゃなくてビジュアル的に派手で画変わりも多い(映画的)のも素晴らしい。
キャラクターをいじくりまわして遊んでるタイプの小説じゃないのもいい。キャラ付けは最小限に。やりたければ黒歴史ノートか、よくてラノベでやろう。
メインはキャラじゃない、アイディアと世界観なんよ。小池一夫の教えは偉大だけど、キャラクター物は儲かるだけでおもしろくない。でも儲かるよね。いいよね。
視点や時間軸がお構いなしにピョンピョン飛ぶのも映画的。タランティーノかよ。いわゆる物語の構造無視型。これは優等生ではつくれまへん。
整理すると、文化大革命時代の中国(主人公 葉文潔):がっつり歴史ものの香り。旦那密告して殺してるの笑える。読みやすい。
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原因不明の組織を追うサスペンス(汪、強):SFサスペンス。科学の細かい話が出てくるけど許容範囲内。普通の小説っぽい。読みやすい。
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VRゲーム「三体」(汪):歴史と科学の発展。脱水と三つの太陽。なんじゃこりゃとおもいながら読む。想像力オーバーフローしちゃうSF特有のアレその1
旗を持った大量の人間でコンピュータの基盤を作ってるとこが一番笑える。封神演義よんでるから周の武王とかいきなり出てきても安心。
でも三体世界が頭の中でフジリューの絵柄になるという地味な二次被害は否めず。
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三体文明とのファーストコンタクト(葉文潔):中盤の説明コーナー。中華版映画「コンタクト」っぽい。女性だし。旦那と上司まとめて殺してるの笑える。
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三体文明のメッセージを奪うぞ作戦(汪、強、米軍のひと):サスペンスアクション。なんといっても切れ味抜群ナノマテリアルワイヤーをパナマ運河に張って巨大タンカーを乗客ごとスライスする途方も無さ。
主人公側なのにやってることがクソ残酷だけど笑える。映画「ザ・セル」の馬の輪切りとかゆで卵を切るスライサーを連想させる。あとジョジョ5部のジェラートとソルベ。
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三体文明側の地球侵略作戦準備(元帥):ぶっとび文明のぶっとび科学実験。想像力オーバーフローしちゃうSF特有のアレその2
えげつないスケール、次元の操る科学力(でも二回ほど失敗してえらいことになる)。作者の想像力が爆発して読んでいる方が酩酊状態になる。
陽子を三次元展開するあたりからもはや画が浮かばない。想像力がおいつかないよ。読みやすいとか読みにくいとかの次元では無い。
To be continued…
てゆーか三体主義者の人文思想レベルが異常に低い上に過激すぎ。
どこが知識階級だ。ただのバカじゃねーか。いや、物語としては最高なんですけど。
保守思想を学びなさい。西部 邁とか。特に葉文潔とエヴァンズ、きさまらだ。
特にエヴァンズは視野狭すぎ。幽白の仙水かよ。ヒトラーでももっと段階踏んで歪んでいったぞ。「資本主義はクソだ!モナリザでケツを拭け!」以上の「地球文明クソ、詳細しらんけど別の文明こそ至高」みたいなガバガバすぎる思想。
劇場版コナンの犯人並に動機があさはか。そう簡単に人類をあきらめちゃいかんよ。ワイヤーで三等分されてざまあ。
主人公格なのに少女漫画のヒロインみたいなメンタルの汪教授は次の巻でヘルシングのウォルターみたいに敵をナノマテリアルワイヤーでぶった切ってほしい。マンガ脳的には。続編早く読みたい。
史強は少女漫画の最初最悪な印象だった不良イケメンポジション。まあ、うん……便利なキャラだね。次回アクションするだろうね。
キャメロ~~~~~ン!!! タンカーが千切りスライスされる映像を撮ってぇええええ~~~~~ タンカーじゃなくタイタニックでもいいよー!!!