尾見怜:五〇九号分室

小説・映画・音楽の感想

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

映画の文体破壊とバカバカしさへの愛  クエンティン・タランティーノ:パルプ・フィクション

面白い映画だなぁ。なんで面白いんだろう?わかりません。好きなシーンはいっぱいあるんだけどね。そんな人が多いであろう映画。ジブリ作品に近いかもしれません。情報の質があまりにもほかの映画と違うのです。 カップルが強盗して、チンピラ二人が黒人殺し…

生理的嫌悪感をいかにして演出するか?  庵野秀明:劇場版新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを君に

ええーとすでに私の精神構造に深く入り込み忘れたくても忘れられない作品がエヴァです。中学から高校くらいまでずっと心中はエヴァエヴァしてました。最近はいろいろと好きなものも増えて脳の片隅に追いやられていますが。当時は感性がビンビンだもん。こん…

物質主義の終わりとアナーキィ・ワンダーランド  デヴィッド・フィンチャー:ファイト・クラブ

生涯ベスト映画です。まあとにかくテンポ速い。原作のチャック・パラニュークの語り口はいちいちひねくれていて、暴論故に気持ちがいい。生理的なリズムでしょうね。もっと歳食ったら小津安二郎とか好きになるかもしれませんが。今映像のテンポで一番好みな…

あなたの人生にはモルヒネ的なものが必要か My Bloody Valentine:Loveless

浮遊して、朦朧として、やらなければいけないこともせず、どちらかといえばネガティブな気分なんだけど不思議に心地よく、二度寝したときにみるシュールな夢のなかのようで、いつまでもとぎれずおわらないぼんやりした感覚。 このアルバムは用途が決まってし…

罵倒と差別の快楽 村上龍:愛と幻想のファシズム

傑作であり衝撃作です。高校の時に読んで以来ずっと自分の中でベスト小説。次点で町田康の「告白」が続きます。ずっと考え続けなければならないし、わたしの人生について回るハードルというか障害というか。これに触れない限りこのブログは始まりません。私…