尾見怜:五〇九号分室

小説・映画・音楽の感想

快楽から不快へ真っ逆さま いつにもまして画面が真っ赤なドラッグムービー ギャスパー・ノエ:「クライマックス」

高校生の時「カノン」を観てからずーっと好きだった監督ギャスパーノエ。
あらゆるモラルに喧嘩を売る監督ギャスパーノエ。
どす黒い赤が何とも不穏なギャスパーノエ。
DVD買っても観る気分になかなかなれないギャスパーノエ。(「アレックス」とか買ってもいつ観るのよ)
エンターザボイドあたりからちょっと忘れてた監督だけどここへ来てキャリアハイ!最高傑作だぜぇえええええ!
ずっと好きだったんだぜ。

相変わらず鬼畜だな。

ほんと好きだったんだぜ。

短編は全部観てないけど

 

やっぱ天才だったんだね。信じてたよ。これに関してははやくブルーレイ欲しい。ずっと流していたい。
ベストフェイバリットムービーに文句なしに入りました。ギャスパーノエの決定版「クライマックス」!
劇場で観ました。超最高です。なにが最高ってまず短い。97分。これ以上だと体調おかしくしてたとおもう。
冒頭の22名複雑に入り混じるダンスシーンだけでまずこの映画が傑作だと分かります。ツカミとしてはこの映画は大成功なんじゃないすかねー!
これはアニメでもCGでも無理。実写じゃなければ無理な複雑な動きを大人数見せてくれるのが贅沢な気がします。画が動くという快楽は映画の基本ですね。アニメがどうひっくり返ったって獲得できない身体性がここにある。
曲はcerroneの「supernature」のインスト。知りませんでした。が、これシンプルながらくっそカッコいい!この映画の顔になってるのはビジュアルだけではなくギャスパーノエが選んだ音楽です。ダフトパンクエイフェックス・ツインしかわからなかったけどかっこいいよー!
音楽映画が最近増えてきましたが、これが今年の決定打な気がします。演出からテーマを超えて映画音楽がそのものって感じ。めちゃめちゃクール。
22名のダンサー+αのキャラが出てくるので、誰かひとりは必ず気に入るのでは。王子様系のイケメンは居ないので若い女子には若干厳しいか?ひとり今バルサで若干浮いてるグリーズマンに似たイケメンがいるけどこいつの性欲がえげつなくて笑える。後半は女性的には不快な描写だらけだしね。絶対にデートムービーではない。僕は下ネタしか言わない黒人男性二人組が好きでした。芸人の深夜ラジオみたいな会話が最高。
今までのギャスパー・ノエ作品と明らかに違うのは序盤に快楽があること。おもいっきり上げておもいっきり落とす構造にしたことです。わたしのような快楽原則に忠実なエンタメ凡愚に優しい。
ダンスグループの合宿ということでロケ地はどっかの学校らしいです。ともあれ建物の構造はいまいちよくわからん。けど人間とカメラがとにかく良く動くので
視覚的な刺激には困りません。むしろ過多。疲れる。音楽はほぼ鳴りっぱなしで、意味のある会話は中盤以降ほぼありません笑 音楽と叫び声ばっか。
ラリッてる人のいろいろなパターンを観れるのも特徴。おかしな人のパターンが大量に欲しいときはぜひこれをカタログ代わりに。
犯人は誰なのか?というセンタークエスチョンがどうでもよくなるほど気持ちよくて気持ち悪い映像が続きます。
気持ち悪い不快な映像がダメって人はいるとおもいます。この映画はちょっとすごいですよ。実写映画と言うフォーマットじゃないと出来ない。
大衆映画がキャラクタービジネスの一部になりつつある今、こういうのがあるだけでもうれしいなー!
なにが言いたいってアルコール含めたドラッグはこわいよってはなし。それをこんなかっこよく、気持ち悪く撮るとはね。脱帽です。今の時代にベストマッチムービー。
なぜならガラパゴスディストピアと化しつつある現代日本ほど、無意識的にドラッグが求められている時代は無いとおもいますから。
今はアイドルとかスポーツとか萌え市場とかホリエモン西野落合系とかいろいろ種類あるから気になってないけど。
ヒロポンが政府に認められていた経緯を鑑みても、日本人は楽しむというよりは労働の苦痛を紛らわす用途にドラッグを使いがち。(コカの実と一緒だね)ブラックな労働には酒がつきもの。
無職は酒飲まないよね。ストレスオールフリーだから。
もっと広義に考えれば安価(or無料)のドラッグとしてyoutubesnsストロングゼロが若者の主流となっているのかも。(恋愛や車はコスト面で選択肢から外れる)
チープドラッグこそ近現代のビジネスモデルなのでは。
あらゆるドラッグ的なものに今、NOと言おう!その後には地獄が待っているんやで。。。そんなことを、ギャスパーは言いたかったんじゃないかな。。。
真面目で羽目をはずした経験のない人にとってはこの映画ダメかも。

後悔する朝が多かった人向け。

 

 

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