尾見怜:五〇九号分室

小説・映画・音楽の感想

リアリズム+そこはかとないエロが超盛り盛りで大満足。内容は貧困なのに高級感あふれる工芸品のような映画 是枝裕和:万引き家族

 

この映画すげえわ。
そらパルムドールとるわ……みんながみんな上手すぎるよ。ちゃんと邦画も進化しているのねん。リアリズムってやっぱ振り切った方がいいんだね。
万引きってワードはいわゆるツカミですね。ファーストシーンとしては完璧ですが万引きはこの映画の一部であり、メインは家族の方ですね。
底辺家族の描写を上手くやられると好きになっちゃうんだよねー。しかも全員善人ではないのがよし。そこが他のファンタジー貧乏と一線を画すところ。
さりげなく家族の秘密が暴かれていくテンポが秀逸で飽きさせない。
この家族に対する好意やら庇護欲やら刺激されて、かつちょっとうらやましいななんて思うこともあり。(血がつながってない松岡美憂が転がっている家庭で暮らしたい)
画作りは見事としか言いようがない。というか、これがメインじゃないか?貧困家庭のリアルさがすさまじい。あの庭の木の手入れしてない感じとか、大量の生活雑貨が
めんつゆのキャップが開けっ放しだとか菜箸を人に向けるとか謎の派手なフェルト素材の部屋着とか芸が細かい。
一番ツボなのは人ひとり出られればいいという思想が垣間見える物だらけの玄関。俺はそんな玄関をいくつか見たぞ。
リリー・フランキーが人はいいけど知能やモラルに欠けるなさけない小悪党親父を好演。
安藤サクラもほんとやんちゃと母性とエロさと貧乏くささがちょうどいい配分で素晴らしく魅力的。パート仲間との会話が下世話で名シーン。
「絆」って言って半笑いになってしまうところがなんとも素敵。慣れないキレイごとへの一般市民の気恥ずかしさに対して非常にリアル。泣くシーンは単に映画史に残る奇跡。
松岡美憂があまり画面に登場しないのも印象的。男だから若いねーちゃんが画面に出ると釘付けになっちゃうのはしょうがないので、
あえてバランスを取って少なくする。家族をバランスよく見せる。うまいなーうまいなー
そっか、風俗は俺みたいなクソゴミドブ人間だけではなく、生まれつきハンディキャップを背負った人たちの救いにもなっているのね。プレイ中の優しさは天使。
全世界の風俗嬢に愛を叫ぶよ。いつもありがとう。いま大変だけど、コロナ収束したらめちゃくちゃ通うよ。
冗談抜きにほんとうに風俗ってすばらしい仕事だとおもいます。店員も「さやかさん、お願いします」もリアル。(もちろん闇の部分もあるでしょうが)
樹木希林の一人で晩酌するシーンがかっこいいすね。徐々にみんな集まってきて見えない花火を見上げると。やっぱ柱はおばあちゃんなのね。
気になったのはショタコン歓喜の城桧吏っすね。髪型とかかっこいい。立ち振る舞いや表情が美しい。
この映画が唯一過剰だったのはここか。画を持たせるためにある程度は必要だったんだろうけど、ちょい魅力的過ぎませんかね?「誰も知らない」柳楽優弥といいさぁ……
誰の趣味なんだろーなあーーぁー
とはいえ映画にエロスは必須だとおもっているので良し。松岡美憂も安藤サクラリリー・フランキーもみんなエロくて良い。観れる。
あとリリーと安藤のセックス前のシーンのあとに子供が走るシーンでを入れて喘ぎ声とか息遣いをミスリードさせるのは わざとか? わざとなんか? わざとならナイスですね。
よれよれのタンクトップは男女問わず正義か。
しっかしきれいに二時間で収めたわ。見事。
とにかくいい映画でした。ただ劇場でみたいかと言うと微妙。ブルーレイ買うか。

 

 

万引き家族

万引き家族

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