太ったブスからシュッとしたボクサーへと変わる様が本編の白眉。人間の変化をセリフで説明せずに体型や表情で表現するってのはまさに役者の仕事でしょう。尊敬します。
この人は底辺っぽい女性の演技がほんとうにうまいわー。っていうかなんでもうまいのか。万引き家族でも抜群でした。天才の類でしょうね。
ヒロイン(ヒーロー)役に本当にクズだった新井浩文。説得力ありますね。不良→クズの色気ってやっぱりあるよね。こういう俳優は貴重だとおもいますので個人的に復帰期待。
シナリオはまあロッキーです。構造的には前半後半で変わるシン・ゴジラも近いかも。前半リアルで後半はファンタジー。
安藤サクラの外見の変化をきっかけに映画の種類も演出も変わってます。
↓以下悪口です
この「百円の恋」という映画、安藤サクラの熱演もあってかなりの傑作なのですが、音楽が全般的に平凡すぎてチョイと引っかかる。
安藤サクラのボクシング練習シーンがこの映画の肝だったりするのですが、劇伴が15年くらいセンスが古いんですー!!勘弁してくれー!
めちゃめちゃ気になるんです。ダサいんです。なんかディープパープル「Child in Time」と「Black night」を混ぜてみました、みたいなのと無難なシューゲイザーみたいなの2パターンあるのですが、
どっちもほんといまいち。なんでこんなことに? 前者に至ってはただの手抜きだろ。"
似たような展開の「ピンポン」がありますが、この映画の練習シーンはノリに乗っていた時のスーパーカーが担当していて、すさまじくかっこいい。STROBOLIGHTS 。ぶっちゃけスーパーカーが映画を食ってるくらい。窪塚洋介とタメをはる音楽は当時スーパーカーとナンバガくらいなもんでしょう。もうトレーニングでどんどん強くなっていくキラキラした高揚感っていうんですか。いいよね。
日本のバンドで映画と上手くコラボした例でピンポン以上を知らない。次点は「愛のむきだし」でのゆら帝か。あれもすごかった。
主人公がどんどん成長していく高揚感をほんとうにかっこいい音楽がアシストしているのですが、「百円の恋」は流さない方がよかったかな……
もちろん元ネタの一つであろう「ロッキー」のトレーニングシーンにかかる劇伴は言わずもがな。ロッキーと言えばこれ!っていうインパクトがあります。
トレーニングのシーンは覚醒した主人公が努力しまくる映画のメインディッシュに近い部分。(シン・ゴジラではエヴァの劇判を流用してましたね。多分苦肉の策です。それくらい重要なシーンなのです)ボクシング映画のトレーニングシーンは音楽映画のライブシーンみたいなものですよ。ぬるいロック流しとけばいいか、じゃすまされないところ。
つまり! トレーニングのシーンの劇伴だけは手を抜いてはいけないところだったのよ!!!! 一番おいしいところになんだあの魅力のない劇伴は!
めずらしく文句です。すみませんでした。映画自体は劇伴以外とてもいいと思います。とくに前半の冴えない恋愛の感じがめっちゃすき。
〇映画のエンディングダサいと最後の余韻台無し問題!
この映画のエンディングの曲。嫌いです。
こういうことが起きるので、人生とは愛とはみたいな、知ったような説教系歌詞にしょっぱいロックをのっけたバンドっていい加減死滅してくれませんかね。
若い子にニーズがあるんですか。そうですよね。すみません。でもこの映画10代が観るか? どちらかというと俺みたいなひねくれたおじさんが観る映画じゃない? ちがうか。
でも映画には邪魔でしかないよ……自分のお庭だけでやっててくんないですかね。
映画はそもそも言葉で説明せずに映像や音楽でテーマを語るものです。
ただ、最後のエンディングでガシガシにメッセージがこもった歌(しかもダサい)を歌われると、フルコースの最後のデザートで毒を盛られた気分になるのは私だけ?
この「百円の恋」の音楽はなんか全般的にがっかりしました。役者も監督も罪は無い。むしろすごい。音楽だけがほんとペラい。長編小説をパワポ1枚にまとめてしまったかんじ。ペラ1。
それとも自分の感性がマイナーなのか……おじさんなのか…… このバンドの良さは何回生まれ変わってもわからないとおもいますが。
他にもエンディングが合っていない(と感じた)映画があるぞ! 映画自体はすごい好きなのであくまで曲のチョイスがね……
・エクス・マキナ
映画自体はAIをネタにしたミニマルなSFサスペンス。なのにエンディングはサヴェージズというポストパンク。うーん、これに関しては好みかもしれないけど、
やかましい曲は終始静かだったこの映画には合っていない。最後までミニマルでいってほしかった。
・パンク侍、斬られて候
内容はとにかくパンクで人死にまくりの狂気的な時代劇コメディ。 エンディングはピストルズのアナーキー!最高!ぴったり!
とおもったらそのあとに我が邦の若手バンドに変更。謎にエモーショナルなラブバラード。死ぬほどダサいよ!ピストルズの後だとなおさらキッツイ!ピストルズ聴かせてよ!
配給とかスポンサーの兼ね合いもあるのだろうけど、バンドのチョイスが金払って観てる身からすればきっついよ。変なバンド使うならせめてドラマだよ。やめようよ。
映画のエンディングって大事だよ。なるべく監督に選ばせてあげようよ。ジブリの「風立ちぬ」なんて最高だったやん。なんか本当に損だよ。