尾見怜:五〇九号分室

小説・映画・音楽の感想

リンチ作品にしかないものが確実にあるんだけど、それが何かはわからないの デヴィッド・リンチ:ブルーベルベット

若い男の子が息子と夫を人質に取られているメンヘラエロおばさんとエロいことになってしまい、最終的に事件を解決する話です。
リンチの中ではかなり観やすい部類の作品だとおもう。ストーリーを普通に追っていけばわかる造りになってます。時系列シャッフルも無し。


そんな話なのですが、リンチ節というか、名状しがたい不安感をあおる画作り、音楽が魅力的過ぎるせいで、正直ストーリーはどうでもいいというか……内容は何でもいいから一生観てたいというか……

 

オープニングは何回観ても苦手です。苦手というのは嫌いという意味ではないです。

ただ虫が苦手で……絶対映画館で観たくない。
オープニングに虫が出てくるのはワイルド・バンチも同類。

やめて。
あとローラ・ダーンの顔も虫と同じくらい苦手です……
そのかわりイザベラ・ロッセリーニのはエロい顔、身体、さいこうです。

ドンタッチミー!と叫ぶシーンは若干ベッキーです。


あとは何といってもデニス・ホッパー

フランクって名前のサイコ野郎は、村上龍「インザミソスープ」にも出てきたな。

この映画のせいで再読したら顔がデニスホッパーになっちゃったよ。

洋画の悪役としては「レオン」のスタンスフィールド、「ブレードランナー」のロイ、その次に好き。

 

映画史上一番笑えるレイプシーンがあります。
撮りながら監督も笑ってたとか。
無理矢理やられている女性には申し訳ないけども、セックスというのは性欲抜きでみてみると大体滑稽だと思います。
男の必死さもなんか笑える。「人のセックスを笑うな」って言われても無理だょ……

 

やばい奴ら、チンピラの集団、というのは映画に出てきがちですが、この映画のチンピラたちは今まで見た映画の中で断トツで怖いです。

なにするかわからない。会話が通じない感じ。一般人との価値観の差。コミュニケーションの内容が違う。これはなんかもう、この映画独特なものです。

「こいつらなんなんだよwww」って笑って観れますが、絶対に会いたくない。怖すぎる。


そういや画面サイズがシネスコっすね。シネスコは車内のシーンが似合うね。


歌のシーンがいくつかあるのですが、ほんととんでもなくイイです!
リンチの作品は歌もすばらしい。自分は映画には歌とダンスのシーンが欲しいタイプです。

ワイルドアットハートのニコラスケイジは笑える。

マルホランドドライブの泣き女はすさまじい名シーン。


Dorothy's first song in Blue Velvet

 


ララランドみたいにプロじゃない俳優が歌うと笑えない出来になりますが。

(なんであの映画ジャズジャズうるさいのに劇中でジャズをやらないのだろうか。ピアノもダンスもひどいし。その癖にテイクオンミ―馬鹿にしてるし。クソ映画)

それに対してダンサーインザダークのビョークはやっぱ歌唱力といい表現力といいすごいよね。音楽への愛に溢れている。

 

感想ブログ書いといて何ですが、マジでリンチの魅力ってなんなんだろう……と考え込んでしまいます。
難解だから好き、という厨二感も無きにしもあらずなのですが、わけのわからないものを観たいという思いが強いのかもしれません。
わからないものはわからないままにしとくのが私流です。

わけわかんないのに、わけわかる映画より面白い気がする。
こういうわからない映画に出る俳優ってどういう気持ちなんでしょうね。

押井守が天才と認めた監督がリドリー・スコットとリンチですが、リンチの頭の中はどうなってるかマジでわからん、みたいなこと言ってましたね。
天才というか価値観があまりに我々凡人とかけ離れているのでしょう。頭のどこから出て来たの?ってシナリオばっかだよ。

どうやら瞑想で得たアイディアを使っているらしいのですが。考察はしません。

生理的嫌悪感、恐怖、性描写、暴力、不安などの感情とコンシャスな方はぜひ観てみよう。
ゾワゾワ来ますよん。

やっべー書いてて観たくなってきた。
今から観よう。(まじでなんでだろう)