第4阿呆特急

一人旅をします。

喉風邪の朝 浅慮の洗濯

咳が止まらねえ。

夜間もずっと咳が続く。

この前映画館に行く時、ついつい電車代をケチって新宿まで歩こうとしたのだが、途中で心が折れてバスに乗った。その老人だらけのバス内で喉にチクっと違和感を覚え、これは風邪をもらったな、と予感していたものが盛大に結実し、この様。

 

私は幼い頃喘息を患い、咳ばかりしていた。

その為止まらぬ咳には慣れっこで、咳き込みすぎて10歳の時点で腹筋が割れていたくらいである。しかし眠れんのは鬱陶しい。

 

水を飲めば多少マシになるが、水を飲むのさえ面倒な時もある。渋々起きて時計を見ると午前一時。舐めているのか。私は夜二十一時から翌朝八時までノンレム睡眠きめたい超ロングスリーパーなのに。

 

目が覚めると朝八時。ちょっと引くくらい寝た。

いやーいい歳のくせして寝るよね俺は。昨日は1週間分の洗濯買い物掃除身だしなみをしてあとARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONをひたすらにやってただけなのによ。

男の中の男の趣味

昨日干した洗濯物が雨に濡れている。

うわちゃあ、やってしまった。

私は1週間分の洗濯を日曜にまとめてやるのだが、コインランドリーを使っており200円遣う。昨日は晴れており一日中干して完全に乾いていたのに、私はARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONに耽って取り込むのを忘れていた。

 

もう一回洗って、乾燥機にかけなければ明日着る服が無い。

一晩雨に打たれたのを無視し、また再度干すか?

 

別に着る物がなくても用事などないのだが、変に几帳面な私は日々のリズムが崩れることを異様に恐れるし何より気持ちが悪い。歯ブラシをサボる、風呂に入らない、などの習慣をパスすることがどうしてもできない性質なのだ。

 

咳は依然として止まらん。喉がいたい。

ただ偏屈から来る薬嫌い故、咳止め薬なぞ気の利いたものは家に無いし、これから常備するつもりもない。

 

この偏屈さは35を超えてから顕著であり、可愛らしいお坊ちゃんだった過去は彼方、見るものに緊張と恐怖を与える中年が咳をしまくって往来を闊歩することになる。歳とんのっていやだなあ。

 

こうなったら髪を思い切って腰くらいまで伸ばし、会うものに戦慄を与える外見となるべきだ。小柄だからいつも舐められてきたが、もうこれで終わりである。フェミニストの短髪やパンクの人の眉全剃りと近いものがある。

そうしよう。

 

愚劣な思考はそこそこにマンションの地下コインランドリーに行くと、

あぁ、小銭がねえことに気づく。

洗濯機200円、乾燥機100円必要なのに500円玉一枚しかねえ。

仕方なく一階まで戻り、雨が降っているが外の自販機まで行って500円を崩そうとするが、そこは新500円玉、銭入れに入れても虚しくお釣りのとこにカランと落ちる。

千円札を崩そうとしても無く、一枚あった五千円札も入らねえ。

忌々しい雨は風邪気味の私に容赦なく降り注ぐ。

 

しょうがねえから駅前のコンビニまで向かうが、途中のパチンコ屋の近くにある使ったことねえ自販機に新旧500円使用可能の文字。

助かったぜ、とあったか〜い微糖の缶コーヒーを買う。クソ寒いのでアツアツで持てない、みたいなのを期待したがぬる〜い。悲しいし濡れて寒い。

 

確実に風邪が悪化したのを感じつつ戻り、洗濯を終え乾燥機も終え、私はまた安静に1日を終えたのだった。

夜になるとまた咳が出てきたので虚しさと共に寝る。治らん。