過去の記事を軽く読み返してみたが、旅日記と称しながら近所をぶらぶらしている危ないおっさんの狂った思考を垂れ流しているだけやんけ。ダメじゃん。
目的はそれはもう、讃岐うどん、です。私は讃岐うどんが好き。だから行く。
自宅の鍵を閉めて、リュックを背負い、エレベーターを呼ぶボタンを押す。
頼もしい暖かさのモッズコートを羽織り、極寒の4時50分、暁の出撃である。
あの子はまだ眠っているだろうか、とキモく無駄な懸想をしつつ歩く。
早朝はどうしたってセンチメンタル過剰である。
方南町から5時の地下鉄にのる。結構人がいる。ご苦労様です。詳細はともあれ、いろいろとあなたたちのおかげです。
スマホの充電が心配なので、電子書籍ではなく持参した文庫本を読む。
西村賢太の「小銭を数える」。内容は主人公が人脈を頼って金を借りまくる話なのだが、ひでぇ。主人公の性格が異様で笑ってしまう。とても面白く読んだ。
そうこうしていると新宿に着いた。
早朝5時20分の新宿発の山手線のホームはまあ混み合っていた。
新宿で朝まで飲んでいた若者の帰宅が主である。朝になっても姦しく騒いでいる。
それがまだ特別に感じられるセンスを持つ若者が羨ましいが、あの忙しない頃にはもう戻りたくはない。
人生の絶頂と感じるほど楽しかったが、あの幼稚な感性にはもう戻りたくはない。
良く考えたら、若者時代に喋っていることは内輪の共感ばかりでかなり面白くなかった。サラリーマンも同様である。
日暮里から成田空港まで2500円もかかるのがまあまあつらい。
早い便にして飛行機代をケチった意味があまり無いのでは…。羽田で高松行きの安い便で5千円台は破格だと思うのだが、成田までの金額が納得いかん。
私が何が嫌いって、観光客のゴロゴロとうるさいキャリーケースが大嫌いだ。
かつげないほどの荷物ならそもそも持ち運ぶべきでは無いと思う。
緊急事態に走れないというのはなんかいやである。
金があるなら荷物運び奴を雇え。大衆センスの象徴みたいで気味が悪い。
真冬なのに短パンを履いている若い女など理解に苦しむ。
旅行客は趣味の悪い格好をしている女が多いが、旅慣れたようなマダムも多く、好感が持てる。非日常だから浮かれているというのが嫌いなのだ。リゾートから戦場まで、結局日常の延長だと私は思う。
早朝成田行きのスカイライナー、全体的に空気がフワフワしている。皆慣れてない感じ。
一部のマダムは落ち着いたものだ。見習いたい。
成田空港第3ターミナルをを経て機内。安い便なので限界まで狭い。
それはいい。
腹が減った。早くも限界近い。空港に着いたらうどんを食ってしまいたい欲望にかられる。
運よく墜落を免れ高松空港着。
総合案内所で聞いた限り、リムジンバスに乗れば高松市内へ行けるらしい。
千円で切符を買ったらちょうどすぐ乗れた。
この下調べ皆無の出たとこ勝負な感じがたまらない。観光バス特有のもこもこした車内がなんだか懐かしい。
予約、下調べ無しで未知の土地をウロウロするのが嫌いな人もいると思うが、私は大好きだ。一人旅とはそういうものだ。悪く無い気分。腹は減っているが。
予定していたうどん屋はことごとく遠い。
悪いがもう我慢できないので、最速でうどんをとりあえず腹に入れることにしよう。
バスからの風景。四国とはどんなもんだ、と観察してみる。
でかい家多くないか。平屋が多くて経済的余裕を感じる。東京の六畳一間で自足している自分がなんだか侘しい。あとパチンコも多い。住んだら3ヶ月で嫌になるかもしれんが。あとは高層ビル、マンションの類がないとこに開放感があるのか、空が広い。
降りたバス停は栗林公園前。腹が減ってバスから降りる奴などこの令和の時代に二人とおるまい。
あまりの旅情気分がよくなり、に犬神家の一族の愛のテーマを大声で歌いながら歩く。
金田一耕助になった気分で。平日に無職がただのアホである。
松下製麺所。
冷かけ一玉と、とり天で380円くらい。非常に安い。
美味い。うますぎる。空腹にしみわたるよ。
セルフうどんは東京のものと違い、自分で片づけたり駅そばに近いものがあるかも。家の近くにあってほしい気軽さと安さ。
初うどんは大成功だった。皆さんも行ってみてほしい。
くつわ堂というお菓子屋さんの二階はホテルのロビーと見まがうようなモダンな喫茶店。
ミックスサンドを頼んでしまった。
渋い。好き。また来たい。
こんぴら街道がを北へ。目指すは八重垣新地。四国有数の風俗街である。
立ちションしてる人を何十年かぶりに見た!
風俗街と造船業のドックみたいなものが隣接していて、なんだかもほんとに男の世界という感じがプンプンしていて、私はすごい楽しいです。今それでいて、人の姿は全く見えないと言うところが、まぁ微妙に不気味この八重垣新地を舞台に小説でも書いてみようかしらと思う気持ちがあります。
カメラを持ってうろうろしてたらシシガシラ脇田に激似の黒服さんに軽く注意された。そりゃそうですよね。クソガキがカメラもってうろうろして野暮でした。
いずれ絶対客として来ます。
高松市内の川原町駅から琴平線に乗って今日の宿がある琴電琴平駅へ向かう。
ピアスして茶髪の若者3名が琴平線に乗っている。私はその若者たちを興味深く観察してしまった。
なんというか、チャラくはない。微笑ましい。茶髪でピアスって結構今は逆に珍種というか、最近の若者はマッシュとかツーブロックとか属性によって多角化していて把握し切れないのだが、香川ではまだ若者は若者然とした茶髪にピアスをしてくれているのだ。きっと、代々チャラい先輩に影響を受けて下のものが受け継いだ秘伝のタレが如く、ここ香川ではスタイルが受け継がれているのだ。それがなんか嬉しい。ファッションがネットではなく人づてに継承される文化的なコードであり、グローバル資本主義から独立してる。私がかつてそうだった、若者らしい若者なのだ。
なんかいいなあ。結構男前だし、懐かしいし。このままネットとかで最新のファッションに触れたりしないで欲しい。
50歳くらいのおばさんも、聖子ちゃんカットの変形みたいな髪をしており、なんだか貴重なものを見ているような気がする。東京のネットと一体化した文化とは一線を画している。うれしくなる。
あと栗熊駅ー岡田駅間のカーブはめっちゃ車体が斜めになる。そして尻が浮くほど縦に揺れる。
琴電琴平線はいいぞ。
琴平につきまして。
無事に投宿しまして。
さっそく金比羅さんに登る。
なるほど確かに石段はキツい。
ただ37歳、まだ若いのか、脚と肺が慣れてしまえば大丈夫。
とりあえずきょうはおそいのでここまで。
明日奥の院(1200段くらい上るらしい)に挑戦する。
宿の風呂に入ったら若い大学生くらいの男の子が一人いた。
お湯がなかなか出なかったので、なんとなくしゃべる感じになって、色々と聞いてみたら幼馴染の女子2人とこの宿に来てるらしかった。4月から就職らしく、仕事を辞めたばかりのくせに先輩風を吹かしたくなって、偉そうなことを2.3言ってしまった。
風呂の天井近くの空間が男女突き抜けになっていたため、話している音声が丸聞こえだった。同時間帯に風呂に入っていた女子2人は、私と男の子が話しているのを聞いて、声を出さないように気を使っていたらしい。
私がそれにようやく気づき、慌てて風呂から出た途端、3人の楽しそうな嬌声が扉を閉めても聞こえてきた。
私は辛い気持ちになった。
社会人になっても気を遣えるあの3人は大丈夫だと心から思う。
私はもちろんダメである。
さあ寝ますよ。
また明日うどんと金毘羅をやるぞ!