尾見怜:五〇九号分室

小説・映画・音楽の感想

倦怠と退廃の匂いが無いリゾートなんてナンセンス METRONOMY:The English Riviera

METRONOMYだったらこれでしょう。前作の「Nights Out」も悪くはないけども。近似アーティストとしてゆらゆら帝国か。

とにかくアンニュイなアルバムですが、リズムはばっちりのれます。それもドラムとベースが安定している為。スカスカでもいい、気持ちが良ければ。
今までこのバンドは打ちこみメインだったのがこのアルバムからベースとドラムが人力になりました。ルックスも死ぬほど冴えなかったのに、伊達男と美女が入ってかなりリア充よりに。
やっぱり生音だと雰囲気変わりますね。ファルセットのコーラスが目立つバンドなので、低音域がしっかりしていると曲としての推進力が違ってくる。
変わり種バンドだったのが魅力そのままに安定したという感じでしょうか。オタク臭い鍵盤の凝り方は前作よりひかえめか。印象的なリフを繰り返すパターンが多いですね。
とはいえ歌ものが多いので聴きやすい。加入したドラマーのアンナ・プリオールがまただるい感じで歌うのでそれもまたよし。

どんな時に聴くかというと、私は別にハレでもケでもない精神が無風状態の時に聴きます。テンポが速いわけでも遅いわけでもないので。
イメージはジャケットからも想像できますが、さびれたヨーロッパあたりのリゾート。カリフォルニアのガワだけをパクりましたみたいな。熱海でも最悪可。

全曲いいんだけど、まあ一番いいのは#7「THE BAY」でしょうか。気持ちいいベースリフですね。オクターブ奏法はこのへんなバンドに合う。
歌詞もなかなか抽象的で魅力たっぷりです。2014のサマソニでも聴いたことがあるのですが、ベーシストのベンガ・アデレカンが良すぎてビビりました。
ベーシストの理想は黒人に確定。踊ってるついでに弾いてるみたいでした。日本人共よ俺を見ろ!って感じ。白人やアジア人じゃ無理だな……あのリズム感はすごい。逸材。
また東京にきてくださいよ……

 

 

 

Because this isn’t Paris
ここはパリじゃないし
And this isn’t London
ロンドンでもないよ
And it’s not Berlin
ベルリンではないし
And it’s not Hong Kong Not Tokyo
香港でもない 東京でもない
If you want to go
君がどこかに行きたくても
I’ll take you back one day
いずれあなたを連れ戻す
It feels so good in the bay
それはとてもいい入り江
It feels so good in the bay
とても気持ちいい入り江

 

 

ほんと怪しくていいっすね!要は人でごった返している大都市ではないということでしょうね。イメージはイギリスの南東海岸だそうですが。
バカンスで一度来てしまったら、その魅力には抗えないって感じかえ。行ってみたい。
この歌詞はすごく好きです。どこか世にも奇妙な物語を連想させる。あるいはSF。またはホラー?

ホテルとカジノとビーチがあって人が少ないって最高ですよね。観光地には行きたくないのにホテルに泊まりたいジレンマを私はどうすればいいのか。
南仏あたりか?だれかおすすめのさびれたリゾート教えてください。これ聴きながらボケっとしたいのよ。

 

 

THE ENGLISH RIVIERA

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